第13夜あとがき

ジールは首長のことがちょっとこわい。

今回はいろいろ整理、準備の回です。
ラストダンジョンに乗り込む前に手前の街で装備を整える的な。

扉絵に魔族の首長がいますが、本編にはちっちゃいひとこましか姿が出てないという。
せっかく首長のキャラデザインしたのにちゃんとした出番がなさそうなのでせめて扉絵にと。
シーガ首長はジールの暮らすグラムロッツ森林区内の集落のまとめ役です。村の長老。
厳格で堅物なおじいさん。昔の因縁で技族のことをよく思っていないひとりです。
魔族は技族にいい感情を持っていないひとのほうが多いので「技族も魔族も関係なく、いいひとも悪いひともいる」という考え方のジールはそれをおおっぴらに出すことができません。
技族たちとほんとは仲良くしたいと思っているけど、魔族のみんなの思いも理解できないわけではないので、自分の思いを口にできないジレンマを抱えています。
12話でアレックスにそれを打ち明けたのは、彼がアレックスたちのことを信じている証です。
アレックスがジールの背中にそっと触れたのもまた、そんな彼のことを信じ寄り添いたいという気持ちの表れです。
ジールの言っていた通り過去は両族は同じ社会で支え合っていたので、またそんなふうにできる日がくればいいのですが。

こぼれ話になりますが、魔族の自治区はグラムロッツだけではなく国内各地にいくつか点在しています。
それぞれの地区に首長がいて、魔族全体の長というのはいません。
技族となにか対話する必要があれば全地区の首長が集まって会合を開き意見をまとめ、王都に最も近いグラムロッツのシーガ首長が代表として出席します。