第16夜あとがき

制服についての説明シーンで描かれているマント姿の人はエリオットの前の兵団長ジュリアス。
エリオットの父親です。きびしーい人なのでエリオットは彼といるときはいつも以上に背筋が伸びる。
ちなみにジュリアスはアレックスの同期で飲み友達です。
なのでアレックスはエリオットを赤ちゃんの頃から知っています。お守りをしてあげたことも…。

前回に引き続き過去編。今回はジュードの生い立ち編です。
扉絵を含めて前回のアイリシアたちとの対比として描いているのでその違いを感じてもらえたらと思います。
今回のお話を読んでいただくことで15話の彼のふるまいについてわかりやすくなったかなと思うのですがどうでしょう…。

彼は村を出てから笑わなくなったんですが、彼にとっては村が家であり村人みんなが家族だったので、外の世界は彼にとって生きていくためのフィールドでしかなく彼のこころをときほぐすものはなかったのでした。
牛乳屋の夫婦も悪い人ではなく穏やかに見守ってもらえていたけれど彼にとっては「雇ってもらっている」という意識が強かったのと、もう辛い別れを経験したくないという思いで、決して他人に心を開こうとはしませんでした。
ちなみに彼の背中にある傷は火傷の跡です。彼は火事のときのことは憶えていません。

「涅色」とは水底のよどんだ黒い土の色だそうです。
タイトルに色名を入れたくて探していたらまさにイメージ通りの色が見つかったので採用しました。
神話の「よどみなき世界」との対比になっています。
それにしても日本の色名ってすごく繊細で素敵ですね〜。